――――――1話――――――「music」―――――― 音楽の授業。 「じゃあ声出しします」 ポーン・・・ と、ピアノのドの音。 「「「「「ア――」」」」」 皆がドの音を発声する。 でも、みんなやる気ないし声も小さい。 時々、ふざけた男子の音はずれな発声が聞こえる程度。 ポーン・・・ 「「「「「ア――」」」」」 レ ミ、ファと音を出し続ける。 音楽室は、やる気のない発声でいっぱいになった。 どんどん高くなり、低くなる、ピアノの音。 何度か繰り返した後、合唱の練習がある。 「じゃあ、合唱しましょうか」 先生が一声だしてから、曲を弾き始める。 キーンコーンカーンコーン・・・ チャイムが鳴る。 「起立っ!礼!」 先生の指示を待たずに終わろうとする会長。 「こら三ツ谷、勝手に終わるなぁ」 ニヤニヤと笑みを浮かべながら注意する先生。 「すんませ〜ん」 クスクスと笑う声もある。 「でもいいよ、今日はもう終わりだから」 皆の方を向いて、舌を出していた会長が、今度は真面目に号令をかけた。 「起立! 礼! 」 「「「「「ありあとやしたぁ〜〜!!!」」」」」 ガヤガヤと、騒がしくなる、休み時間。 私は教室に戻ると、机にうつ伏せた。 そして、時が流れるのを待った。