――――――3話――――――「science」―――――― 岡雪は、1年の中間あたりから来てないらしい。 授業を聞く間にも、?マークが頭に浮いていた。 今は、私の大っ嫌いな魚の授業。 メダカの入った水槽の水を回したり、縞縞の紙を被せて回したり。 何がしたいんだって感じなんだけど。 気持ち悪いし臭いしもう頭の中「ああああ」って感じ・・・。 魚は食べるの専門です..... 男子のグループとかは、はしゃいで魚が気絶するくらいかき混ぜてる。 あ、先生に怒られた。 ま、それはいいとして。 岡雪も、結構はしゃいで、それから固まる。 たぶん自分の中で“今まで来てなかったくせに”とか思ってるんだろう。 「千紗...さん、やらないの? 」 そう言いながら岡雪がガラス棒を渡してくる。 「いい、魚、嫌いなの」 顔をしかめながら言うと、ふぅ〜んとだけいってまたガラス棒をとった。 ふと、男子グループを見ると、魚は動かず浮いている。 死んでんのか気絶してんのかわかんない。 すると先生が金切り声をだした。 「なにしてるの! メダカ死んでるじゃない!!! 」 あーやっぱ死んでるんだとか思ったら、さっきの男子じゃん。 死んでないしーとか言って男子はメダカを突いている。 するとピクッと動いて泳ぎだした。 ほらね、という顔をする男子に、先生の顔は真っ赤になっている。 あいつ等後で怒られるな。 所詮大人なんて、頭ごなしに怒ってる。 私は教師なんか信用してない。 大人は卑怯。 私は何も信じちゃいない。 友達だって、そのうち居なくなる『まやかし』で 先輩だって、後輩を苛めたりして楽しんでる。 教師は頭ごなしに暴力を振るものだっているし 大人なんか、私たちから楽しみを奪っていく。 信じられるものなんて何もない。 だから今まで、広いけど浅い関係を築いてきた 裏切られても、キズづかないように。 いじめられても、逃げる場所を確保するために。 仲間同士で教師の陰口を言うために。 皆で大人をけなす為に。 メダカなんかほったらかして、私は4限目を考え事で過ごしていた。