第一幕 Encounter  第3話 死体  ガラン……  鉄棒が倒れる音、そして村人たちの歓呼が響き渡る。  青年は牢屋の鉄棒を切り落としていた。  牢屋から出た人々は、青年に感謝の言葉を言うのをわすれ、建物の中から飛び出し、村へと戻っていった。 「これでもう、用はないだろう」  青年が剣についていたルビーをなでると、剣は紅いガラス玉へと姿を変えた。 「シャス」 (何)  青年が言った。  シャスは心の中で青年に答えた。 「幽体のときは普通に話しても声は聞こえないから、普通に話してくれ」 『え、どういう……』  シャスは疑問に思い、思わず声を出した。 「そっちのほうが聞き取りやすい、俺も助かる」 『いや、そういう意味じゃなくて、幽体って……何?』  青年は口元に笑みを浮かべ、こう言った。 「ここでは誰かが聞いているかもしれない。森の中に入ってから話すとしよう」  青年は森に向かおうとしたが、シャスが止めた。 『村を見ておきたいんだ。村を通ってくれるかな』  青年はそれを聞き、村へと方向を変えた。 「見て後悔するものがあると思うが」  そう言ってから青年は、ゆっくりと村へ向かって歩き始めた。  最後にシャスが言った。 『立場を代えてくれないかな。』  シャスは村を見て、唖然とした。  賑わっていた市場は荒れ、血の染みが所々に残り、家々は火を点けられたのか、黒く、炭のようになっていた。 『言っただろう、後悔すると』  青年が言う、シャスは強気になっていった。 「まだ僕は、後悔したとは言っていない」  青年は鼻で笑い、こう言った。 『村の外には何があるか、知っているか』  シャスは、青年が自分を軽蔑していると感じ、言い返した。 「僕は弱くないんだ。後悔なんてしない」  青年は冷笑し、言った。 『出てみろ、後悔する』  シャスは「ああ」と言い、外へ出た。  シャスは顔を青褪め、後悔した。  男たちに刃向かった後、殺された人々の死体が、無数に散らばっていた。  その中にシャスの父もいるのだろうが。シャスの頬に冷や汗が伝った。  しばらくして、青年が言った。 『後悔しただろう。見たくないなら早く立去れば良い』  シャスはその場から立ち去ろうと、森へ向かった。  その間、驚くべきものを見つけた。  男たちに刃向かったのは、大人だけだと思っていたのだが、違った。  そこには、真紅の長い髪を後ろで結い、黒いコートを着た青年が横たわっていた。  倒したのだろうか、男たちが5、6人倒れていた。  後ろから襲われたのだろう、背中にひどい傷が残っていた。  しばらくして、青年の声が聞こえた。ひどく冷たい声だった。 『見るな、見るんじゃない。早く立ち去れ』  シャスは言われたとおり、森の中へ立ち去っていった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― どうでしたか?第3話。 次回は青年の秘密が明らかに? 読んでくださったら一言お願いします(不安) これからもよろしくお願いします。 ※2月8日 修正