第3幕 remembrance 第16話 過去の記憶 喜びの後には、 悲しみがつき物だ。 影と光が一つのもののように、 喜びと悲しみも一つのものなのだ。 決して、幸福で裕福な 生活を送れるものはいないだろう  目が覚めたとき、朝はもう来ていた。  暁の空に早起きの鳥が飛び交う。そして飛び立つときに、枝を揺らし、白いスモモの花弁が雪のように舞った。  そして、幸せそうな笑みを浮かべたクレナイ――。  日が照り、もう人々が起き始める頃になっても、目覚めなかった。  シャスは一人、ずっとクレナイを見つめていた。  温かい日差しがシャスを包み、またうつらうつらとしてきた。  長い間、この森の中で、半分以上を寝てすごしたような気がするのに、また睡魔がシャスを襲った。  そして、その場で眠った。  シャスは、自分が見ている夢は死者の夢なんだ、と、直感的にそう感じた。  丸太小屋の前、クレスとヴァーギルが剣を交えている。  突然、クレスがヴァーギルを強く壁に叩き付けた。もちろん、剣がぶつかった反動で。そして、手から剣が離れた。その剣は宙を待った。  剣はまっすぐクレスに向かってくる。クレスは恐ろしさに、動くことが出来なかった。  剣がすぐそこまで来たとき、やっとの思いで後ろに一歩下がった。しかし、避けきれず、剣はクレスの額に切りかかった。  ヴァーギルは目を丸くしながら、急いでクレスに近寄った。そしてクレスの額をやさしく押さえた。そのまま丸太小屋に戻っていった。    ベッドにクレスを座らせ、水で額を洗った。そして、ガーゼを当て、テープで張った。 「ごめんな、傷つけてしまい、それに傷も少し深い……」 「平気だよ。ちょっと痛いけど、我慢する」  ヴァーギルが心配そうに言ったが、クレスはにっこり笑って答えた。    そして、シャスの目の前で、素早く、長い時間はあっという間に過ぎていった。その間、クレスの額から、ガーゼが離れることはなかった。    そして、クレスは現在のクレナイと同じ姿になり、ヴァーギルはさらに年をとった。  すると突然、戸を叩く音が聞こえた。 「誰だ」 「あけてくださいっ。助けてください」  ドアを叩く音は耐えなかった。声からして女性のようだ。  ヴァーギルがドアを開けた。そこにはぼろぼろな姿の女性が息を切らして立っていた。 「一体どうしたんだ」  ヴァーギルが聞いた。 「村が、男達がっ、襲ってきて、助けてくださいっ」  女性は時々息を切らしながら、泣きそうな声でいった。 「そういうことなら、言ってやろう、クレスも来い」 「分かってる」  そういってふたりは、村に向かっていった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 第16話、第3部突入〜☆ やっと第3部に入れました。 はい、読んでのとおり、クレナイの夢の続きです。 携帯から出来れば画像が乗せられるんですが……。 アクセス制限がうっとおしい〜!!!! まぁ、そんなこんなで、終わります。 では(←コレ最後につけるのが癖になってるww)。