第3幕 remembrance  第18話 霊空間 霊は心を読む。 自分自身の魂も、霊のうちだ。 これは知っておけ。 霊が実行する前に、防いでおかねばならぬ。 ――ここは……。  シャスはそっと起き上がり、辺りを見回した。  辺りは一面、全て白い霧に包まれていて、何も見えない。 「ク、クレナイ……」  シャスは不安になり、クレナイの名前を呼んだ、しかし、クレナイはいない。 「いないの……、クレナイ……どこ……」  シャスは寒気がして身震いした。 「誰もいない……一人なの……」  シャスは、涙をこらえていった。  ふと、手を見た。はっきりと見える。  手だけではない、足も腕も、全てはっきり見える。ふつう、幽体だと、体ははっきり見えない。しかし、こうはっきりと見えるということは、霊空間が濃いということがわかった。 ――一体ここは……  シャスは立ち上がり、そしてゆっくりと歩みだした。  地面も、空も、自分がどこにいるのかも、何がどこにあるのかも、全くわからない空間を、ゆっくり歩んでいった。  しばらくすると、水の、微かな匂いがした。 ――湖でもあるのだろうか……。  シャスは辺りを見回してみた。しかし、何も見えない。 ――もう少し進んでみよう。  そう考え、シャスは歩き始めた。    そしてしばらくすると、水の匂いが濃くなってきた。 ――ここだ。  シャスが辺りを見回した。すると、霧の中に二つの影が見えた。  霧が晴れてきた。二つの陰が次第にはっきりと見えてくる。  二つの影は、二人の少女だった。  二人の少女は同じ背丈で、同じ金髪を同じように結い、同じ服を着て、同じ座り方をして、隣同士に並び、湖の畔で座っていた。  しばらくして、か細い歌声が聞こえてきた。  人の命は花のように短いの  そうよ、だから私たちは死んだのよ  命は本当に短いのね  ええ、本当に短いわ  だから私は死んだのね  そうよ、だから私たちは死んだのよ ――死んだだって……。  シャスは疑問に思った。あの二人は死んでいるのだろうか。  ふと、二人の少女は、シャスのほうに振り返った。顔も本当にそっくりだった。  そして、一人の少女が言った。 『あなた、死んでないでしょ』 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 第18話完成。 いや実は、一回書き終わった後に更新してしまって消えてしまって……。でもこういうことがあるとたいていあきらめるんですが、あきらめなかったのが不思議です。 最初書いたのと内容が少し変わってしまったのがショックです…… 誤字などあったら指摘お願いします。 では。